奄美大島・龍郷町の鶏飯「ひさ倉」。メニュー全品の値段と、待たずに入れる時間帯
〒894-0101 鹿児島県大島郡龍郷町屋入516
奄美大島・龍郷町の鶏飯の名店「けいはん ひさ倉」。鶏を自分で育てて捌く店の全メニューと値段、丸鶏18羽で炊くスープ、混雑しない時間帯、現金のみ・焼鳥のラストオーダーといった注意点まで、行く前に知っておきたいことをまとめました。
奄美で鶏飯を食べる店を一軒だけ選ぶなら、龍郷町屋入の「けいはん ひさ倉」がまず候補に挙がる。国道58号から少し入った道沿いの平屋で、壁いっぱいに鶏とヒヨコの看板が出ている。
この店が他と違うのは、味の好みの話ではない。鶏を自分たちで育て、自分たちで捌いて、その日のスープにしている。奄美大島に2カ所しかない食鳥処理場のうちの1カ所が、この店の養鶏場の中にある。鶏飯という料理そのものについては一杯の鶏飯から知る、奄美の食卓にまとめているが、ここではその「鶏」から話を始めたい。

大島紬の職人が始めた、鶏飯の店
開業は1993年。始めたのは久倉茂勝さんで、もとは大島紬の織り手だった。ひさ倉のある龍郷町は、大島紬の代表的な柄「龍郷柄」が生まれた土地だ。その紬産業が下り坂に入っていく時期に、鶏飯の店へと商売を変えている。
建物は久倉さん自身が棟梁と話し合って設計したもので、奄美の木材を使い、窓を大きく取ってある。中に入ると天井まで板張りで、木の匂いが残っている。観光地の食堂というより、法事や集まりに使われる島の座敷に近い空気だ。
鶏を自分で育て、自分で捌く店
店から約1.5km離れた場所に、自前の養鶏場がある。山を含めて3万坪の敷地に、およそ3,000羽を放し飼いにしている。品種は名古屋コーチンと薩摩地鶏を掛け合わせたもので、集落の名を取って「屋入鶏(やにゅうどり)」と呼ばれる。配合飼料に頼らず、牧草や野菜を与えて、2年かけて育てる。
ブロイラーが50日ほどで出荷されることを思えば、2年という時間は異様に長い。走り回った鶏は余分な脂肪が落ち、身が締まる。それを養鶏場の中の食鳥処理場でその都度処理し、店で手作業でほぐして具にする。奄美大島に食鳥処理場は2カ所しかなく、そのうちの1カ所がここだというのは、この店の性格をよく表している。
自家生産しているのは鶏だけではない。卵も、具に使う青パパイヤも自分たちで作り、パパイヤの漬物も店で漬けている。柑橘のタンカンも自前だ。仕入れた材料を組み立てる店ではなく、材料から作っている店だ。
丸鶏18羽と鶏がら15kg。100リットルの寸胴で5時間強
一口飲んで驚くのは、スープの透明感と旨味の濃さだ。雑味がなく、これだけでご飯が食べられそうなほどなのに、脂で押してくる感じがない。
その中身は、100リットルの寸胴に丸鶏18羽と鶏がら15kg。これを弱火で5時間強かけて炊き上げ、浮いてくる灰汁と脂を丁寧に引いていく。仕上げの味付けは塩と薄口醤油、そして黒糖焼酎。焼酎で香りを立てるところに、この島の店らしさが出ている。
もうひとつ、この店のスープには作り置きがない。注文が入ってから一鍋ずつ塩と醤油を加えて仕上げる。運ばれてきたスープが火傷しそうなほど熱いのは、そのためだ。夏場は汗をかきながら食べることになるので、上着は脱いでおいたほうがいい。
一杯の中身と、おかわりの作法
器に来るのは、ご飯の上に具材が盛られた状態。手でほぐした鶏肉、錦糸卵、椎茸の甘煮、パパイヤの漬物、刻み海苔、小ねぎ、紅生姜、そして干して刻んだタンカンの皮。ここに別添えの熱いスープをたっぷり注いで食べる。
味の輪郭を決めているのはタンカンの皮だ。ひと口目は鶏の出汁が来て、飲み下したあとに柑橘の香りが鼻に抜ける。この香りがあるおかげで、5時間炊いた濃い出汁を最後まで飽きずに食べきれる。混ぜ込まずに、具を少しずつ崩しながら食べていくほうが、香りの立ち方がよく分かる。
ご飯とスープはおかわりができる。ご飯はおひつで来るので、一杯目は具を全部のせず、二杯目のために取り分けておくのが現実的だ。地元の人は具を控えめにしてご飯を重ねる食べ方をする。
メニューと値段(全品)

店の品書きはこの1枚で全部だ。定食類はなく、鶏飯と、つまみが数種類という潔い構成になっている。
御食事
| メニュー | 値段(税込) |
|---|---|
| けいはん | 1,540円 |
| とりさし | 660円 |
| 豚足塩焼き | 495円 |
やきとり(ワンオーダー5本以上)
| メニュー | 値段(税込) |
|---|---|
| もも | 220円 |
| 皮 | 220円 |
| 砂ズリ | 220円 |
| ネギ間 | 220円 |
| 三角(ぼんじり) | 220円 |
| 豚バラ | 220円 |
| 焼鳥盛合せ(5本) | 990円 |
| 焼鳥盛合せ(10本) | 1,760円 |
御飲物
| メニュー | 値段(税込) |
|---|---|
| 生ビール(スーパードライ) | 660円 |
| びんビール(スーパードライ) | 660円 |
| 焼酎グラス(里の曙・じょうご 25度) | 440円 |
| 焼酎グラス(長雲 30度) | 550円 |
| ノンアルコールビール | 440円 |
| コーラ | 330円 |
| オレンジ(100%) | 330円 |
| ウーロン茶 | 330円 |
鶏飯だけなら1人1,540円、つまみを1品足しても2,000円台前半に収まる。黒糖焼酎は里の曙・じょうご・長雲と島の銘柄が並ぶが、車で来る人がほとんどの立地なので、飲むなら運転しない人と一緒に来ることになる。
この品書きから読み取っておきたい注意点が3つある。
- やきとりは5本からしか頼めない。「1本だけ試す」ができないので、2人以下なら盛合せ(5本990円)を分けるのが現実的
- 焼鳥と豚足のラストオーダーは15:00。鶏飯のラストオーダー(15:30)より30分早い。遅い時間に行くと、鶏飯しか頼めないことがある
- 支払いは現金のみ。クレジットカードも電子マネーもQRコード決済も使えない。しかも各種クーポンは注文時の提示が必要で、会計時には受け付けてもらえない
鶏飯以外に頼むなら、この2品

とりさし(660円) は、この店の成り立ちがそのまま出る一品だ。自前の養鶏場と食鳥処理場を持っているからこそ、刺身で出せる。大葉と玉ねぎのスライスにレモンを添え、生姜を溶いた醤油で食べる。2年育てた鶏の身は、しっとりしながらもはっきりした噛みごたえがある。660円という値段で鶏の刺身が食べられる店は、島の外ではまず見つからない。
豚足塩焼き(495円) は2本で495円。皮の表面をパリッと焼き上げてあり、断面から軟骨がのぞく。奄美では豚足が日常の食材で、煮たものを食べることが多いが、ここは塩焼き。レモンを搾ると脂の重さが切れる。鶏飯が来る前のつまみとして、ちょうどいい。
混雑と待ち時間。何時に行けばいいか
「並ぶ店」という前評判で身構えて行くと、拍子抜けすることがある。164名を収容できる広さがあり、鶏飯は注文から出てくるまでが速いので、席の回転が早い。行列が店の外まで伸び続けるタイプの店ではない。
とはいえ、昼のピークだけは別だ。時間帯ごとの目安はこうなる。
| 時間帯 | 混み具合の目安 |
|---|---|
| 11:00〜11:30(開店直後) | ほぼ待たずに座れる。いちばん確実な時間 |
| 11:30〜12:00 | 席は埋まり始めるが、待っても5分程度 |
| 12:00〜13:00 | ピーク。記名して待つ形になり、休日は数組待ちも |
| 13:00〜14:00 | 落ち着いてくる。待たずに入れることが多い |
| 14:00〜15:00 | いちばん空いている。ただし焼鳥・豚足はL.O.15:00 |
| 15:00〜16:00 | 鶏飯のL.O.は15:30。材料切れで早じまいの可能性あり |
確実に食事したいなら、11時台の開店直後か、13時半以降を狙うのが正解だ。特に押さえておきたいのが最後の行で、この店はスープや材料がなくなり次第、閉店時刻を待たずに終わることがある。16時までやっているつもりで15時半に着いたら閉まっていた、という事態は起こりうる。遅い時間に向かうなら、出発前に電話を1本入れておきたい。
夏の最盛期には1日400〜500人を迎えてきた店なので、お盆や大型連休の昼どきだけは、上の目安より一段厳しく見ておいたほうがいい。
店内。子ども連れでも、車椅子でも入りやすい

店内は1人掛けから6人掛けまでのテーブル席に、畳の座敷、8名掛けの団体専用席まで備えて164名収容。厚い一枚板のテーブルと木の椅子が並び、天井も壁も板張りで、窓から山の緑が入ってくる。観光客と地元の常連が同じ空間で食べているのが、この店の日常の風景だ。
設備の面は、郷土料理店としてはかなり手厚い。
- 全席禁煙(灰皿は店外に設置)
- 入口・トイレともバリアフリー対応。車椅子・ベビーカーで入店できる
- 授乳室、おむつ替えスペースあり
- 駐車場は店の前と裏に合わせて50台
小さい子ども連れでも、高齢の家族と一緒でも、席と設備で困ることが少ない。座敷があるので、子どもが座っていられない年齢でも何とかなる。
ひとつだけ、時間帯によって店内がやや暑く感じることがある。そこに熱いスープが来るので、真夏に訪れるなら一枚脱げる服装にしておくと快適に過ごせる。
行く前に確認しておきたいこと
- 現金を用意していく。カード・電子マネーは使えない
- 定休日は不定休。曜日で決まっていないので、遠回りして寄る予定なら電話で確認する
- 営業時間の情報が錯綜している。掲載サイトによっては20時30分までと案内しているところがあるが、店の品書きに書かれているのは11:00〜16:00(L.O.15:30)。夜は開いていないものとして予定を組んだほうがいい
- 予約は電話またはFAX(0997-62-2988)。オンライン予約の窓口はない
店舗情報
- 店名: けいはん ひさ倉
- 住所: 〒894-0101 鹿児島県大島郡龍郷町屋入516
- 電話・FAX: 0997-62-2988
- 営業時間: 11:00〜16:00(L.O. 15:30/焼鳥・豚足のL.O. 15:00)
- 定休日: 不定休(材料がなくなり次第終了することあり)
- 席数: 164名収容(テーブル席1〜6人掛け・畳座敷・8名掛けの団体専用席)
- 駐車場: 50台(店舗前・店舗裏)
- 支払い: 現金のみ
- 設備: 全席禁煙・バリアフリー入口/トイレ・授乳室・おむつ替えスペース
- アクセス: 奄美空港から車で約20〜30分(約12km)。名瀬から車で約20分。路線バス「屋入ひさ倉前」下車すぐ
- 公式サイト: https://hisakura.synapse-site.jp/
- 食べログ: https://tabelog.com/kagoshima/A4605/A460502/46000094/
営業時間・定休日・値段は変更されることがあるため、訪問前に電話または公式サイトで最新情報を確認することをおすすめする。
島の鶏飯を食べ比べるなら
奄美の鶏飯は店ごとに性格がはっきり違う。笠利の元祖鶏飯 みなとやは鶏飯という料理が生まれた場所そのもの。名瀬の鳥しんは昼が鶏飯、夜は島料理の居酒屋という二毛作の店で、鶏飯ラーメンのような派生まである。そしてひさ倉は、鶏を育てるところから自分でやっている店だ。空港側から名瀬へ移動するルート上に3軒とも並ぶので、滞在中に2軒回るのは難しくない。
ひさ倉のある龍郷町は、ハートロックや大島紬のふるさととしても知られるエリア。食事の前後に立ち寄れるスポットは龍郷町観光ガイドにまとめている。豆腐料理を食べたいなら、同じ町内の豆腐料理専門店「島とうふ屋」もあわせて訪れたい。島に着いた初日の昼にひさ倉を組み込む動き方は、はじめての奄美大島 2泊3日モデルコースで具体的に書いている。
よくある質問
何時に行けば待たずに入れますか?
11時台の開店直後か、13時半以降。12時から13時がピークで、記名して待つ形になり、休日は数組待ちになることもある。14時から15時がいちばん空いているが、焼鳥・豚足のラストオーダーは15:00になる。
夜は営業していますか?
していない。店の品書きに書かれているのは11:00から16:00(L.O. 15:30)で、夜は開いていないものとして予定を組んだほうがいい。掲載サイトによっては20時30分までと案内しているところがあるが、情報が食い違っている。
早く閉まることはありますか?
ある。スープや材料がなくなり次第、閉店時刻を待たずに終わることがある。16時までやっているつもりで15時半に着いたら閉まっていた、という事態は起こりうるので、遅い時間に向かうなら出発前に電話(0997-62-2988)を1本入れておきたい。
カードは使えますか?
使えない。現金のみなので、用意していく必要がある。
子ども連れや車椅子でも入れますか?
入りやすい店になっている。入口・トイレともバリアフリー対応で、授乳室とおむつ替えスペースもある。畳の座敷もあるので、子どもが座っていられない年齢でも何とかなる。駐車場は店の前と裏に合わせて50台。