奄美・龍郷町「島とうふ屋」。豆腐屋直営の定食と、セルフで取れる湯どうふ・みき・豆乳
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奄美・⁠龍郷町「島とうふ屋」。豆腐屋直営の定食と、セルフで取れる湯どうふ・⁠みき・⁠豆乳

〒894-0106 鹿児島県大島郡龍郷町中勝1561-1

奄美・⁠龍郷町の豆腐料理専門店「島とうふ屋」。定食の値段、セルフサービスで無料になるもの・⁠定食に必ず付いてくるもの、待ち時間の目安、行く前に確認しておきたいことまで、店の品書きと現地の情報からまとめました。

文・はげ〜

豆腐屋がそのまま食事処をやっている。龍郷町中勝の「島とうふ屋」は、島のスーパーに豆腐を卸してきた老舗・⁠高野食品の店だ。国道58号沿い、ビッグツーと本茶トンネルの中間あたりの山際に、白い暖簾が下がっている。染め抜いてあるのは「髙野」の一文字だけ。

石積みの壁に「髙野」の白い暖簾がかかる島とうふ屋の入口。引き戸の前に木のスツールが並ぶ

入口の前に、木のスツールが6脚ほど並べてある。予約は受け付けておらず、混む時間帯は店の外で名前を書いて待つので、あのスツールは待つ人のために置いてある。

豆腐屋が、自分の豆腐を食べさせるために開いた店

高野食品は1950年代半ばに創業した、龍郷の老舗豆腐店だ。豆腐、厚揚げ、こんにゃく、湯葉など20種類ほどを製造し、島のスーパーに卸してきた。

その豆腐屋が「豆腐料理を通して奄美の食文化を伝えたい」として食事処を開いたのが2006年。つまりこの店は、飲食店が豆腐を仕入れているのではなく、豆腐屋が自分のところの豆腐を一番いい状態で食べさせるために作った店ということになる。店内メニューのいくつかは、工場のまかないから生まれたものだという。

建物は昭和初期の民家をイメージした造り。土壁に柱時計、裸電球のペンダントライト、レトロな琺瑯看板。奄美の食卓に豆腐が毎日のように上がっていた時代の空気を、そのまま店の形にしている。

固まりにくいにがりを、あえて使っている

豆腐づくりで普通に使われるにがりは、豆乳がきれいに固まるよう成分を調整したものが多い。島とうふ屋が使うのは、それをしていない無調整のにがりだ。奄美の海水から自然塩を作る工程で残る、そのままのにがりを使っている。

調整していないぶん、固まり方が日によって揺れる。気温も湿度も海水の状態も一定ではないからだ。扱いにくい原料をわざわざ選んでいるのは、ミネラル分が残ることで豆腐にほのかな甘みが出るから。口に入れたときに、大豆の味の後ろから薄く甘さが立ち上がってくる感覚がある。

だしにも同じ考え方が通っている。店の一日は、だしを引くところから始まる。北海道南部の昆布とかつお節でしっかり取ったうえで、味付けは塩と薄口醤油だけ。醤油の色と香りで押し切らないので、豆腐の甘さが最後まで残る。

セルフで取れるもの、定食に必ず付いてくるもの

この店を語るときに一番よく誤解されているのが、ここだ。整理しておく。

畳の座敷と、花柄クロスのテーブルに薬味・ポット・ピッチャーが並ぶセルフサービスコーナー

食事を注文すると、店の一角にあるセルフサービスコーナーが使えるようになる。ここに用意されているのは3つ。

  • 湯どうふ
  • みき(奄美の発酵飲料)
  • 豆乳
「食べてほっこり あったか湯豆腐」と手書きされた雲形のPOPを背に、カセットコンロにかけられた大きな土鍋。角切りの豆腐が白濁した湯の中いっぱいに煮えている
セルフコーナーの湯どうふ。手書きのPOPが目印で、土鍋から自分でよそう

たれと薬味も何種類か置かれていて、湯どうふは自分で味を変えながら食べられる。一方で、ところてんくみあげ湯葉は、セルフではなく全ての定食に最初から付いてくる品だ。トレーの上を見ると、どの定食にもこの2つが小鉢で乗っている。

「くみあげ豆腐が食べ放題」と書かれた情報を見かけることがあるが、これは以前のセルフ内容で、現在の案内とは違う。セルフで取れるのは湯どうふ・⁠みき・⁠豆乳の3つと思っておけば間違いない。

なお、店側の案内はあくまで「セルフサービス」であって、「食べ放題」「飲み放題」という書き方はされていない。対象が定食を頼んだ人だけなのか、子どもの取り分けはどう扱われるのかも明示されていないので、気になる場合は席で聞いてしまうのが早い。

豆腐屋が、なぜ「みき」を作っているのか

セルフコーナーに置かれている「みき」は、米を粥状に炊いてさつまいもを合わせ、寝かせて発酵させる奄美の伝統的な飲み物だ。とろりとした甘酸っぱさがあり、島では行事や日常の栄養補給として飲まれてきた。

豆腐屋がこれを作っているのには理由がある。昭和40年頃、島でみきを製造していた大手のうち1社が後継者不在で廃業することになり、設備とスーパーへの流通経路が共通していた高野食品に、製造の引き継ぎが持ちかけられた。負担の大きさに一度は迷ったものの、「奄美の食文化を残すために」という家族の後押しで引き受けたのだという。製造を始めて3年目頃にメディアで取り上げられ、そこから全国から注文が入るようになった。

セルフコーナーで何気なく注がれているあの一杯は、島の食文化がひとつ消えかけたところを豆腐屋が引き取った、その結果として今も飲めているものだ。

メニューと値段

定食は、店内の品書きに載っているものが6種類。すべて税込表示で、小鉢は仕入れによって変わる。

塩豚の煮物定食・豆腐ハンバーグ定食・湯葉春巻定食・マーボー豆腐定食・揚げ出し豆腐定食・角煮定食が並ぶ島とうふ屋の品書き

定食値段内容
塩豚の煮物定食1,450円三枚肉を塩漬けにした豚肉と野菜の煮物。島の定番のあっさり系
豆腐ハンバーグ定食1,450円豆腐と合いびきミンチ、野菜を合わせた特製ハンバーグを自家製和風ソースで
湯葉春巻定食1,350円豆腐と野菜の生地を生湯葉で巻いて揚げたもの。奄美の天然塩で食べる
マーボー豆腐定食1,600円甘口・⁠中辛・⁠辛口・⁠柚子胡椒から辛さを選べる
揚げ出し豆腐定食1,350円自家製だし醤油か柚子胡椒だしを選択
角煮定食2,100円豆腐屋だが角煮も看板の一つ

このほかに、店名を冠した島とうふ屋定食がある。豆腐料理を少しずつ集めた、この店の看板だ。価格は改定が入っており、2025年夏の時点では2,550円として紹介されていた。上の6品より一段上の価格帯になるので、注文前に店頭の品書きで現在の金額を確かめてほしい。

左は大鉢の塩豚の煮物に、白ごはん・お吸い物・豆乳・ところてん・くみあげ湯葉・ピーナツ豆腐などの小鉢が並ぶ塩豚の煮物定食。右は「食べてほっこり あったか湯豆腐」の手書きPOPを背に、カセットコンロの土鍋で煮えているセルフの湯どうふ

写真は塩豚の煮物定食。主菜の大鉢のほかに、白ごはん、油揚げとわかめのお吸い物、豆乳、ところてん、くみあげ湯葉、おからサラダ、ひじきの五目煮、黒蜜をかけたピーナツ豆腐と、小鉢が7つ8つ並ぶ。1,450円という値段に対して、明らかに品数が多い。

食後にピーナツ豆腐が出てくるのも、この店の性格をよく表している。もっちりした落花生の豆腐に黒蜜がかかっていて、甘味まで豆腐屋の手製だ。

週替わり定食(1,400円)

「たっぷりゴマあんかけの揚げ出し豆腐定食1,400円」と小鉢の内容が手書きで描かれた週替わりの案内

週替わりの一皿は、手書きのイラスト入りで壁に貼り出される。取材時は「たっぷりゴマあんかけの揚げ出し豆腐定食」で1,400円。付く小鉢は、小松菜の白和え、くみあげ湯葉、ところ天、魚みそ、ひじきの五目煮、おからサラダ、黒蜜がけのピーナツ豆腐、白ごはん、油揚げとわかめのお吸い物。

案内の下には「仕入れ等により予告なしでの変更がある場合がございます」と但し書きが添えてある。決まった献立を回しているのではなく、その週に入ったものでその都度組んでいるということだ。

店内は座敷が中心。子ども連れは入りやすい

畳の座敷に置かれた一枚板の座卓と座布団。窓の外に緑が広がる

店内は畳の座敷が主体で、そこに厚い一枚板の低い座卓と座布団が並ぶ。土壁には子どもが描いた絵がそのまま残っていて、窓の格子にも子どもの絵が貼られている。靴を脱いで上がる造りなので、じっと座っていられない年齢の子どもを連れていても、席で困ることが少ない。

一方で、車椅子での来店には注意がいる。店にはバリアフリー対応のトイレがある一方、入口には段差があり、車椅子での入店は難しい場合があると案内されている。設備としては整っているが、入口までの動線が別問題になっているので、必要なら事前に電話で相談したほうが確実だ。

店内は禁煙。奥のカウンター越しに厨房が見え、待っている間も店の人が動いているのが見える距離感になっている。

混雑と待ち時間。何時に行けばいいか

予約は受け付けていない。店頭の名簿に名前を書いて、呼ばれるのを待つ方式だ。豆腐と惣菜の物販は10時から始まっているので、食事の開店前から人が集まり始める日がある。

時間帯・⁠条件待ち時間の目安
開店前(10:30頃⁠〜⁠11:00)開店前から記帳が始まる日がある。車で待機する人も
平日11:00⁠〜⁠13:0020⁠〜⁠50分待ちの事例が多い時間帯
平日13:00以降空くとは限らない。10組以上並ぶこともある
土日の11:00前後開店直後でも30分程度待つことがある
連休・⁠お盆・⁠テレビ放送直後20組待ち、1時間超の事例あり
閑散期(冬場)それでも30分ほど待つ日がある

要するに、「この時間なら確実に空いている」という時間帯がない店だと考えておいたほうがいい。強いて言えば、開店前に着いて一番手に近い順番を取るのが最も読める。逆に、13時を過ぎたから空いているだろうという読みは外れやすい。

もう一つ押さえておきたいのが、混雑時や品切れ時には最終受付を早めに切り上げる場合がある、と店が明言している点だ。閉店時刻ぎりぎりを狙うのは避けたほうがいい。

行く前に確認しておきたいこと

この店は、掲載されている媒体によって情報が食い違っている項目がいくつかある。実際に行く前に押さえておきたいのは次の5点。

  1. 営業時間の情報が割れている。公式サイトの案内は最終入店16:45・⁠ラストオーダー17:00・⁠閉店18:00だが、グルメサイトによっては15:20最終入店、観光情報では20:00閉店としているところもある。夕方に向かうなら、出発前に電話を1本入れておきたい
  2. 定休日は不定休。曜日で決まっていない。「定休日なし」と書いている媒体もあるが、公式は不定休として個別に休業を告知している
  3. 支払いは現金と主要クレジットカード(Visa・⁠Mastercard・⁠JCB・⁠American Express)。ただしPayPayなどのQRコード決済と電子マネーについては、使えるとする媒体と使えないとする媒体があり、確実ではない。現金を用意しておくのが安全
  4. 住所の地番表記が2種類ある。公式サイトは「中勝1561-1」、公式LINEや地図サービス・⁠行政サイトは「中勝1561-6」。カーナビに入れる際はどちらでも同じ場所に着くが、表記の違いに戸惑わないように
  5. 駐車場の台数の案内も割れている。10台とする媒体と20台とする媒体がある。昼のピークは駐車場が先に埋まることがある

店舗情報

  • 店名: 島とうふ屋(運営: 高野食品)
  • 住所: 〒894-0106 鹿児島県大島郡龍郷町中勝1561-1(1561-6と表記されている媒体もあり)
  • 電話: 0997-55-4411
  • 営業時間: 食事 11:00⁠〜⁠18:00(最終入店16:45・⁠ラストオーダー17:00)/豆腐・⁠惣菜の販売 10:00⁠〜⁠18:00
  • 定休日: 不定休
  • 予約: 不可(店頭で記帳して順番待ち)
  • 駐車場: あり(10⁠〜⁠20台)
  • 支払い: 現金・⁠クレジットカード(Visa/Mastercard/JCB/American Express)
  • 設備: 店内禁煙・⁠座敷あり・⁠バリアフリートイレあり(入口に段差あり)
  • アクセス: 奄美空港から車で約25⁠〜⁠40分。国道58号線沿い、ビッグツーと本茶トンネルの中間あたり
  • 公式サイト: https://shimatoufuya.jp/
  • 食べログ: https://tabelog.com/kagoshima/A4605/A460502/46000798/

営業時間・⁠定休日・⁠値段は変更されることがあるため、訪問前に電話または公式サイトで最新情報を確認することをおすすめする。

龍郷町であわせて回るなら

島とうふ屋のある龍郷町は、大島紬の「龍郷柄」が生まれた土地であり、干潮のときだけ姿を見せるハートロックを擁するエリアでもある。立ち寄れるスポットは龍郷町観光ガイドにまとめている。

同じ龍郷町内、車で10分ほどの距離には鶏飯のひさ倉がある。鶏を自家飼育している店の鶏飯と、豆腐屋が作る豆腐づくしの定食。奄美の郷土料理としてはまったく方向が違うので、滞在中に両方回ると島の食の幅がよく分かる。

どちらも昼が混む店なので、同じ日に2軒とも入ろうとすると待ち時間で潰れる。日を分けるか、片方を開店直後に充てるのが現実的だ。

よくある質問

予約はできますか?

できない。店頭の名簿に名前を書いて、呼ばれるのを待つ方式になる。

待たずに入れる時間はありますか?

「この時間なら確実に空いている」という時間帯がない店だと考えておいたほうがいい。強いて言えば、開店前に着いて一番手に近い順番を取るのが最も読める。13時を過ぎたから空いているだろうという読みは外れやすい。

予算はどのくらいですか?

定食が1,350⁠〜⁠2,100円。週替わり定食は1,400円になる。

支払いに使えるものは?

現金と主要クレジットカード(Visa・Mastercard・JCB・American Express)。ただしPayPayなどのQRコード決済と電子マネーについては、使えるとする媒体と使えないとする媒体があり確実ではないので、現金を用意しておくのが安全だ。

車椅子で入れますか?

店にはバリアフリー対応のトイレがある一方、入口には段差があり、車椅子での入店は難しい場合があると案内されている。必要なら事前に電話(0997-55-4411)で相談したほうが確実だ。

住所の表記が2種類あるのはなぜですか?

公式サイトは「中勝1561-1」、公式LINEや地図サービス・行政サイトは「中勝1561-6」と表記している。カーナビに入れる際はどちらでも同じ場所に着くので、表記の違いに戸惑わなくていい。

地図